相続のトラブル予防には遺言作成が効果的です
知人から相続についての相談を受けました。
独身でお子さんおらず、ご両親も他界されているため、法定相続ではご自身の財産は兄弟姉妹に相続されることになります。
ただ、兄弟姉妹の中にもすでに他界された方がおり、そのお子さんたち(代襲相続人になる甥・姪)とは疎遠なので、特定の兄弟姉妹に限定して相続させたいというご希望です。
遺言書の作成が有効なケースです。
兄弟姉妹には「遺留分」がないため、兄弟姉妹の中の○○さんに「相続させる」と遺言すれば、との通りに実現します。
ただ、思ったとおり実現するためにはいくつか課題があります。
◆遺言書が法律に従った様式でなされていること。
◆相続させる財産内容の記載に漏れがないこと。
◆遺言書がきちんと発見されること
◆発見された遺言書が隠されたり、改ざんされたりしないこと
などに注意する必要があり、司法書士など専門家の関与をおすすめするところです。
従来、確実性の面から「公正証書遺言」が良いとされていて、もちろんその通りではあるのですが、昨年新しい法律ができて、法務局で自筆遺言書を預かる制度が、来年7月から開始されます。
手数料がいくらかなどの詳細がまだ決まっていないのですが、公正証書遺言よりお手軽なので、選択肢が増えたことになります。
今のところの情報では、両者のメリット、デメリットは次の通りです。
□公正証書遺言
(良い点)
○ すでに制度として完成されている。(今すぐできる)
○ 公証人が内容を点検してくれるので不備の発生が極めて少ない
(問題点)
● 手数料が高い。たとえば相続財産が3000万円の時には、公証人手数料は4万円
● 証人が二人必要。知り合いに頼むと遺言内容を知られてしまう。証人の手配を依頼することもできるが、1人につき1万円くらいかかる。
□自筆証書遺言の法務局保管制度
(良い点)
○ 手数料はおそらく公正証書より安い。
○ 証人がいらない。
(問題点)
● 来年まで待たなければならない。
● 法務局は保管するのみで、内容の不備は指摘しない。
ではどうするかですが、今回の相談のような特に複雑でないケースでは、
1 現時点で、きちんとした(法律上有効な)自筆証書遺言を作成する
2 遺言書の内容を受取人となる方へ伝えておく
3 来年、保管制度が始まったら法務局に保管してもらえば、さらに安心
という方法が良いのではないかと思います。
「法律上有効な」つまり、無効でない自筆証書遺言にするためのお手伝いをいたしますので、相談をお寄せください。
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